鹿島(社長:天野裕正)は、デンカ(社長:今井俊夫)と竹中工務店(社長:佐々木正人)とともに、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)「グリーンイノベーション基金事業/CO2を用いたコンクリート等製造技術開発プロジェクト」を実施するコンソーシアム(Carbon Utilized Concrete:以下、CUCO)の幹事会社として、同技術開発を進めています。今般、その成果の第一弾として、製造過程で排出されるCO2排出量が実質ゼロ以下となるカーボンネガティブコンクリートを用いた「CUCO-SUICOM型枠」(クーコスイコム型枠)を建設現場に初適用しました。
「CUCO-SUICOM型枠」は、鹿島らが開発した、コンクリートにCO2を固定する技術「CO2-SUICOM®」(シーオーツースイコム)を改良し、さらなるCO2排出量の削減を可能とした、2050年カーボンニュートラル実現に貢献するコンクリートで製造した型枠です。今般、経済産業省、NEDO、国土交通省が連携し、「CUCO-SUICOM型枠」を国土交通省発注の放水路トンネル工事に埋設型枠※1として適用したことで、一般的な高強度パネルを使用した時と比べCO2排出量を677㎏/m3削減でき、実質排出量▲62kg/m3のカーボンネガティブを実現しました。
CUCO-SUICOM型枠に用いるコンクリートの概要
①セメントの一部を産業副産物に置き換えることでCO2を削減、②特殊な混和材(γ-C2S)を使用し炭酸化養生することでCO2をコンクリートに吸収・固定化という「CO2-SUICOM」の2つの技術に、③CCU(CO2回収・貯留)粉体である炭酸カルシウムを組み合わせることで、CO2削減・固定量を最大化します。
実工事への適用
今回、放水路トンネル工事において「CUCO-SUICOM型枠」を埋設型枠として適用しました。コンクリートの材料のうち、セメントを産業副産物である高炉スラグ微粉末に置き換えることで409kg/㎥のCO2を削減、さらに特殊混和材γ-C2Sと炭酸カルシウムを使用することで268㎏/m3のCO2の吸収・固定化に成功し、合計677㎏/m3のCO2排出量を削減しました。その結果、一般的な高強度パネルを使用した場合(615㎏/m3のCO2排出)と比べて、実質排出量ゼロ以下の▲62kg/m3を実現しました。
杉の木1本が1年間に吸収するCO2量が約14kgのため、この削減量は139本分の吸収量に相当します。
埋設型枠施工の流れ
①埋設型枠を鋼材でつなぎ合わせて大判化
②大判化した埋設型枠を建込み
③埋設型枠背面にコンクリートの打込み
今後の展開
今後も、本コンソーシアムCUCOが一体となって、CO2削減・固定技術の開発、改良に取り組み、さらなるCO2削減を実現することで、脱炭素社会への移行に貢献していきます。
工事概要
- ・工事名
- :令和3-4年度 日下川新規放水路管理道整備工事
- ・工事場所
- :高知県高岡郡日高村沖名地先
- ・発注者
- :国土交通省 四国地方整備局
- ・施工者
- :鹿島建設株式会社
- ・用途
- :放水路
- ・工事諸元
- :作業坑224m、坑門工1式
- ・工期
- :2022年3月~2023年3月
(参考)